窓辺にて

今泉力哉監督の『窓辺にて』を観てきましたよ。
好きなんですよね、今泉監督の映画。何が好きかっていうと、好みが似てるんだと思います。わかりやすいのはキャストですよね。あ、この俳優さん出るんだ!っていうトコロが一番とっつきやすいというか、分かりやすいじゃないですか、入り口として。好きになるきっかけなんてそんなもんでしょ。で、それが何度か重なると、あ、好みが合うな、好きだなってなる。それは映画に限らず、漫画でもそうで、ある作品のキャラクターでもいいし、内容だったりストーリーだったり、言葉選びだったり。音楽だったらメロディーだったり、歌詞だったり、コード進行だったりもするんだけど。

何かのきっかけで好きになったら、何かのきっかけで嫌いになるかもしれないけど、ボクは嫌いになるってことがホントに少ない。嫌いになるということは、過去の自分を否定する気持ちになるからなのかもしれないが、嫌いになる前に他のものが好きになってて、以前ほど好きじゃないって程度になるくらいかな。それでも嫌いになっているわけじゃない。

ここから重要なネタバレはありませんが、映画の内容に触れますので、知りたく無い方は読み飛ばしてください。

映画の内容は、1冊だけ小説を出したフリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、妻・紗衣(中村ゆり)の浮気を知りつつ誰にも相談できずにいた。妻の浮気を知っても、何も感じない自分にショックを受けていた。
紗衣は編集者で、書けば売れる作家・荒川円(佐々木詩音)の担当であり、荒川と浮気もしている。
茂巳の親友、アスリートの有坂正嗣(若葉竜也)は妻子がありながらモデルの藤沢なつ(穂志もえか)と不倫をしているが、別れを告げられる。今後は焼肉までと。
ある日、文学賞の取材で高校生にして受賞した久保留亜(玉城ティナ)に真を喰った質問をすると、直後に呼び出され、小説のモデルになった彼氏・水木優二(倉悠貴)に会わせてもらうことに。優二は嫉妬心丸出しで接するが、留亜と優二は茂巳の抱えてる悩みを読み取り、バイクで走ってきたらと、出会ったばかりの人のバイクに命を預けることで、色々考える。
その後もモデルになった叔父に会うと、なぜか妻の浮気のことを話出すが、叔父は人里離れた山の中に住む世捨て人のような人。そういう人間関係に疲れて山に来ている自分に話すことではないと、川で見つけた形のいい石をくれる。
焼肉までと言っていたのに、また体を合わせるマサとなつ。
タクシーの運転手にコンコンとパチンコについて語られ、人生初めてのパチンコで大勝ちをしていると、留亜から電話。優二と別れたと報告を受ける茂巳。
茂巳は、留亜と優二は?マサは?物語の最後に!って映画では無いんですが、、、。

淡々と流れる物語の中で、衝撃的な事件やセンセーショナルなことが何一つ起こるわけでは無いのに、ずっと面白い。日常って日々の常(つね)だからそこに僅かな楽しみや、面白さ、水の入ったグラス越しの光を指輪に見立てる、そんな些細な幸せに溢れたのが日常であることにも気付かされたり。

この面白さの本質ってなんだろうと考えるわけですよ。面白いといってもゲラゲラと声をだして、ひっくり返るばかりが面白いじゃなくて、興味深いとか、唸るような感心なんかも面白いって可能なんだけど、共感できるって感情もまた面白いと感じることができるんだけど、このストーリーに一体何人の人が共感できるの?って話でも、共感しちゃうのなんだろう。監督自身も、多くの人に共感される話では無いけれどと語っていたけれど、それでも共感できるのなんだろう。映画の主人公や人物に、自分だったらどうするだろうとか、茂巳さんはバイクに乗ったけど、ボクだったら乗るのかな?焼肉までと言われたけど、どうするかな。もらった石をどするかな?とかそういうシチュエーションが身近というか、気付かされるシチュエーションが面白いし、ある意味あるあるネタみたいな感じなんだと思う。忘れている、普段は気にしていないけど、言われたら気になるみたいな、そういう心の些細なわだかまりを大きく広げてみて、さてどうするみたいな楽しさ。そんな面白さに満ちた映画でした。

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投稿者: hara1000

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